現在の日本で通常行われている治療方法について解説します。
1)小さな肺がんに対する手術
以前はどんな大きさや形状の癌でも、患者さんの全身状態が許せば、肺葉切除(右上葉切除など)とリンパ節の郭清(癌のそばのいわゆる所属リンパ節の切除)が行われてきました。しかしある種の小さな肺がんではそこまで大きく切除しなくても治す事ができることが知られています。
そのようなある種の小さな肺がんは切除範囲を狭くして手術による障害を最小限に抑えようとしています。その現在行われている手術方法は胸腔鏡下手術です。胸腔内に内視鏡を挿入し肺の表面をテレビカメラで観察しながら病巣を切除するものです。この方法ですと、皮膚に内視鏡の入る小さな切開や、自動吻合器の入る1cmほどの皮膚切開、そして病巣を取り出すための切開などのみですみます。大きく切除する肺葉切除に比較して、患者さんの負担は軽く、入院期間も短くすることができます。
2)縮小手術の適応のない肺がん
縮小手術のできない肺がんでは、前述したように、肺葉切除とか、左または右肺の全摘出およびリンパ節の郭清が標準的に行われます。現在でもこの方法が最も多く行われています。周囲の臓器に浸潤している場合でも、可能であれば切除するようにしています。
3)放射線治療
放射線を癌のあるところに照射して肺がんを治していこうというものです。癌以外の部分に放射線があたってしまい、放射線が害を及ぼすことがあります。この障害をできるだけ減らすために照射装置や照射技術、照射法などについていろいろ工夫されています。この放射線治療を選択する場合、主治医とよく話し合ってどんな方法ができるのか、できる施設はどこにあるのかについて聞き、決定しなければなりません。現在は重粒子線や陽子線などの優れた治療方法が開発されています。
4)化学療法
さまざまな薬が開発され、発売されています。しかしながら特効薬的な薬物はまだできていません。いくつかの複数の薬のコンビネーションにより副作用を抑え、効果を最大限に出す方法が模索されていますが、決定的なものはまだありません。
肺がんの中でも小細胞癌とその仲間については抗がん剤がよく効く症例があり、手術はせず、化学療法が中心になります。
最近、分子標的治療薬が発売され、効果があると宣伝されてきましたが、間質性肺炎によると思われる死亡例が多く、現在さらに検討中です。これも抗がん剤の一種ですが、ほかの抗がん剤においても副作用があり、同じように注意を要します。
5)免疫療法
免疫力を高めることにより、がんを治そうとする方法です。現在のところ画期的な方法はないようです。
6)遺伝子療法
癌を作る遺伝子や癌を抑制する遺伝子に手を加えたりなどして治療を行うことです。今のところ開発段階で実用化はされていませんが、有望な治療方法です。
7)末期がんについて
不幸にしていろいろな治療方法が功を奏さず、癌を治すどころか進行している患者さんもいます。こうした場合、癌に対して戦うという姿勢から、癌はあったとしても快適であればいいではないかという考え方もあります。癌に対する積極的治療ではなく、患者さんの現在困っている症状についての対策を治療の中心におこうというものです。
手術や放射線、抗がん剤の使用という癌に対する治療ではなく、痛みを取り除いたり、不快感や呼吸困難感などの症状を改善しようというものです。そして苦痛を取り除くための治療方法も進歩してきています。
2003年6月27、28日の両日、幕張メッセで日本緩和医療学会が開催されていました。ホスピスや緩和ケアー病棟、それだけではなく一般の病院、開業されている医院から緩和医療に興味を持つ医師、看護師、薬剤師、ケースワーカー、その他医療に携わるすべての人が集まり、教育講演やシンポジューム、研究発表などが行われました。シンポジュームなどは満員で立って聞かなければなりませんでした。このように医療機関の職員はどのようにしたら末期の人たちについてよいことであるのかを考え、研究しているものが大勢いいます。
埼玉がん緩和ケアー研究会という会があります。武田文和先生が中心となり、緩和医療についての研究成果を持ち寄り、勉強する会です。市民公開講座も行われており、多くの患者さんや家族の人たちが集まり、啓蒙活動を行っています。次の開催についてはこちらへメールください。ここクリックしてください。shoji@ymks.net